引越しのために賃貸物件を探しているとき、お部屋や立地は気に入ったけど、家賃が高いと悩んだことはありませんか。
進学や就職で新しい生活が始まるなど、引越しの時期が決まっている場合は難しいですが、時期を選べば家賃を安くできる可能性があることをご存じでしょうか。
もちろん全ての物件で家賃を安くできる訳ではありませんが、賃貸住宅にも繁忙期と閑散期があり、タイミングを見計らえば相場より安い家賃で借りられる可能性があります。
そこで今回は、不動産業界で働いていた筆者が、その経験をもとに家賃を安くできる時期と手法を中心に、季節ごとの不動産賃貸事情をご紹介します。
いま引越しを検討している、お部屋を探そうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
家賃が安い時期と高い時期
賃貸不動産の家賃は何を基準に決まっているかご存じでしょうか。
立地やお部屋の広さ・間取り、設備など、その物件の物理的環境で決まり、いつ借りても同じと思っている方は多くいると思います。
もちろん物理的環境による要因がほとんどですが、時期によっても家賃は多少変動します。
引越しの閑散期 | 引越しの繁忙期 | ||
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4月後半〜8月上旬 | 1月~4月中旬 |
家賃が下がる閑散期は4月後半から8月
引越しのオフシーズン、つまり不動産賃貸業界の閑散期は、進学・就職・転勤などによる人の移動が落ち着く4月後半から8月頃までです。
この期間の中でさらに狙い目となるのが5月のゴールデンウィーク以降から8月上旬までです。
この期間は引越しをする人がさらに減るため、大家さんは空室を埋めるために家賃を下げる傾向にあります。
繁忙期は1月から4月中旬
逆に引越しの繁忙期は、1月から4月中頃までです。
この時期は進学・就職・転勤に向けて新居を探す人が一気に増えます。
そのため、家賃を下げずとも入居者が決まる確率が高いため、大家さんや不動産会社も家賃の値下げ交渉にはほとんど応じてくれません。
家賃を安くできるおすすめの時期
先ほど少し触れた通り、家賃を安くできる時期(閑散期)は、4月後半から8月です。
新年度に向けた引越しがひと段落し、引越しをしようとする人が減るため、空室を抱える大家さんはなんとかして空室を埋めたいという心理が働き、家賃が下がる傾向にあります。
とくに、大手の不動産会社が貸主の物件よりも個人が貸主の物件の方がこの傾向は強く、家賃の値下げ交渉にも応じてもらいやすくなります。
閑散期に引っ越すメリット・デメリット
閑散期に引越しをするメリットは、家賃を安くできる可能性があることだけではありません。
他にもメリットがあり、逆に気を付けるべきデメリットもあります。
次に、閑散期に引っ越すメリットとデメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
閑散期に引っ越すメリット
まずは閑散期に引っ越すメリットを4つご紹介します。
- 家賃や敷金礼金が相場よりも安い場合がある
- 家賃交渉をしやすい
- 引越しの料金も安い
- 時間的な余裕がある
家賃や敷金礼金が相場より安い場合がある
先ほど閑散期は、家賃が安くなる傾向があると紹介しましたが、賃貸住宅の敷金や礼金も安くなっている場合もあります。
特に閑散期は、入居者を見つけることが難しいため、家賃だけではなく、敷金や礼金などの初期費用を安くすることで、とにかく入居希望者の気を引こうとします。
家賃交渉をしやすい
大家さんの心理からすると、早く空室を埋めるために家賃などを低めにする傾向があると紹介しました。
これに同じような心理が不動産会社(仲介会社)にも働きます。
不動産会社は物件を紹介して契約が成立した時に賃料に応じた紹介手数料をもらっており、これが売上の一部になっています。
つまり、できれば自分が紹介した物件で契約して欲しいと考えています。
賃貸物件を探す際に、家賃が安ければ契約する気があることを伝えれば、大家さんとの家賃交渉をしてもらえる可能性は高くなります。
過度な値下げは難しく、値下げできる範囲も元の家賃の金額によりますが、1,000~2,000円であれば常識的な範囲として交渉をしてみる価値はあります。
ダメもとでも積極的に交渉してみることをオススメします。
最近では、家賃の値下げはできないがフリーレント期間を付けてくれる対応が増えています。
フリーレントとは、入居から一定期間家賃が発生しない特約のことです。
家賃を下げると賃貸物件の資産価値が下がるため、大家さんはフリーレントのような特約で資産価値を下げずに入居者を集める方法を選択します。
フリーレントは1~2ヶ月程度の期間が多く、家賃の値下げがダメだった場合に、フリーレント期間を設けることができないか聞いてみるのも良いでしょう。
引越しの料金も安い
引越しが少ない時期は引越し業者も閑散期になるため、引越し費用も安く済ませることができます。
引越し業者の料金は3月から4月がピークで、ゴールデンウィーク終わりから8月までは料金が低くなります。
引越し業者もこの時期は顧客の確保に苦労するため、値下げ交渉にも応じてもらいやすく、複数業社に見積をお願いして比較すれば、さらに安く抑えることができるでしょう。
時間的な余裕がある
繁忙期はたくさんの希望者の対応をしなければならないので、どうしても一人に対して応えられる内容は限られてしまいます。
一方で、閑散期は不動産会社も大家さんも時間に余裕があるため、入居希望者一人ひとりに避ける時間にも余裕があります。
そのため、こちらの希望を細かく丁寧に聞いたうえで、しっかりとその希望に沿った物件を紹介してくれたり、質問や確認事項にも丁寧に答えてくれるでしょう。
また、不動産会社や大家さんに時間の余裕があるのと同様に、空いている物件がすぐに埋まる心配がないため、物件を探しているあなたにも時間的な余裕ができます。
閑散期は意思決定を焦らされることがないため、じっくりと納得がいくまで考えることができ、相見積もりや価格交渉なども有利に進めることができます。
閑散期に引っ越すデメリット
閑散期に引っ越すメリットが多いことはお分かり頂けたと思いますが、もちろんデメリットや注意点もあります。
閑散期に引っ越するデメリットは、以下の2です。しっかりと把握しておきましょう。
- 物件数が少ない
- 退去時の費用が高くなる可能性
物件数が少ない
閑散期(4月後半から)ということは、新年度に向けて多くの人が引越しをした直後なので、そもそも空室の物件が少なくなります。
条件の良い優良物件は当然繁忙期に入居者が決まってしまうので、あまり条件を細かくこだわりすぎるとそもそも候補物件が1件も出てこない可能性もあります。
沢山の選択肢から部屋を選びたい方や、間取りや立地など、条件にこだわりたい方にはオススメできません。
まずはどのような条件の空室物件があるのか不動産会社に聞いてみて、自分が許容できる条件の物件かどうかを確認してみるのが良いでしょう。
退去時の費用が高くなる可能性
閑散期は、入居希望者の注目を集めるために敷金や礼金を低くする、あるいは無料にするなど、初期費用があまりかからない物件が増えます。
ですが、敷金が無料だと退去時の原状回復費用が敷金から差し引かれないため、退去時に費用を請求される可能性が高くなります。
礼金についても、入居時に礼金を払っているから室内クリーニング費用はなしといったケースがよくありますが、礼金が無料だと退去時に発生する費用はしっかりと請求されることになるので注意してください。
繁忙期に引っ越すメリット・デメリット
ここまで閑散期に引っ越すメリットとデメリットをご紹介しましたが、一方で繁忙期の引越しにもメリットとデメリットがあるので順にご紹介します。
繁忙期に引っ越すメリット
繁忙期に引っ越すメリットは、以下の2つです。
- 物件数が多い
- 時期特有の特典がある
物件数が多い
繁忙期の1月から4月前半は、引越しをする人が多いので空室物件が増えます。
つまり、引越し先の候補となる物件が多くなり、条件にこだわって部屋を探しても、希望する部屋が見つかる可能性が高くなります。
ただし、人気の物件は競争率が高いため、希望条件を満たす物件が見つかったら、すぐに内見に行くなど早めに行動を始めるようにしましょう。
時期特有の特典がある
繁忙期は、新入生や新社会人などの新生活を応援する時期特有のキャンペーンが展開されていたりします。
利用できる人の条件が限られている場合もありますが、繁忙期であってもキャンペーンを利用することで、意外とお得に引越しができるかもしれません。
繁忙期に引っ越すデメリット
繁忙期に引っ越すデメリットは、以下の2つです。
- 家賃が高い
- 引越し代も高い
家賃が高い
繁忙期は家賃が高くても入居者が付きやすいので、家賃が高くなる傾向にあります。
前述した特典を利用してお得に引越しができたとしても、契約した時の家賃を払い続けることになるので理解しておきましょう。
引っ越し代も高い
引越し業者も繁忙期になるため、引越し代も1年で一番高い時期になります。
さらに、業者ごとに1日に対応できる件数にも限りがあるので、入居の契約は決まったのに引越し業者が見つからないといった可能性もあります。
なので、引越しの手配も素早く始めることをオススメします。
引越しに向けて動き出すタイミング
ここまで、引越しの閑散期・繁忙期について、それぞれの時期に引っ越すメリット・デメリットをご紹介しました。
それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分に合った引っ越す時期は把握できたと思います。
ですが、その時期の引っ越しに向けて、いつから動き始めればいいのか分からない方も多くいると思います。
そんな方は、以下の引越しスケジュールを参考にしてください。
引っ越しに向けたお部屋探しは、入居想定日の1ヶ月半前から始めましょう。余裕を持って物件を探したい方は、2ヶ月前から始めることをオススメします。
そして賃貸物件を探す時は、不動産会社は2つ以上使うのがオススメです。
2つの内1つは、大手の不動産仲介会社。そして、2つ目は引越し先エリアにある個人仲介会社です。
大手の仲介会社には、多くの物件情報が掲載されており、広く情報を集めることが出来ます。
一方で個人の仲介会社は、特定の大家さんとのつながりが太い場合があり、その個人仲介会社しか物件情報を持っていない場合もあります。
それぞれの特徴を把握して、上手に仲介会社を頼りましょう。
まとめ
今回は、引越しの閑散期に引っ越すメリットとデメリット、お得に引越しをするための情報をご紹介しました。
どの時期に引っ越すにしても、メリットとデメリットの両方があるので、本記事がそれぞれの時期の特徴を理解するための材料になれば幸いです。
そして何より、納得のいく引っ越しを実現するためには、事前の情報収集が大切です。
この記事だけではなく、色々な情報を集めて納得のいく引っ越しを実現してください。